糖尿病性腎症

蛋白尿・むくみ・尿が泡立つ・高血圧・腎機能障害・腎不全・透析などの状態になりえます。
蛋白尿・高血圧・足のむくみが見られるようになると、腎症として完成された状態と言えます。
糖尿病による腎臓の障害は、段階的にしかし継続的に進みます。
腎機能が悪くなる原因としては、腎臓の過剰濾過と高血糖により細胞障害・増殖が原因となり尿を濾しとる装置である糸球体を硬化させていくことにあります。
腎症の初期は最も小さい血液中の蛋白質のアルブミンが尿中に出現します(微量アルブミン尿)。
やがて、もっと大きな蛋白質が尿中に出現するようになります(1g/日以下)が、腎機能はまだ十分にある時期になります。
さらに、進展すると、蛋白尿の量が次第に増加し、ネフローゼと呼ばれる状態になり腎機能が次第に低下していきます。
ネフローゼは低蛋白血症・低アルブミン血症・多量の尿蛋白・高血圧・高コレステロール血症が特徴です。
この状態になると顔や手足に浮腫が生じ、腎臓の尿を作る力が減少し場合によっては心不全もおこります。
そして、腎臓から体内の排泄物を十分に尿に流すことができなくなり、尿毒素が蓄積され、慢性腎不全状態となり、透析により尿毒素の除去が必要になります。

糖尿病性腎症の治療は腎症の進展度により異なってきますが、やはり、血糖のコントロールはいうまでもありませんが、その上で、血圧のコントロールを厳重に行うことが必要です。
血圧は135/85mmHg以下を目標にコントロールします。
降圧剤としては腎機能障害が著名でない場合は、ACE(アンギオテンシン変換酵素)阻害剤(商品名エースコール、プレラン、インヒベース、コバシル、タナトリル、アデカット、レニベース、など)またはAII拮抗薬(アンギオテンシンtype1 receptor拮抗薬)(商品名ニューロタン、ブロプレス、デイオバン)が第一選択になります。
これらの薬には血圧を下げるだけでなく腎臓の細胞に働いて糸球体が硬化するのを抑え、蛋白尿を減らす作用もありますが、腎機能がすでに悪い場合には注意が必要です。
カルシウム拮抗薬(商品名アムロジン&ノルバスク、カルスロット、サプレスタ、コニールなど(アダラート系より糸球体血行動態の関係でよいとされています))が次善になります。
その他の降圧薬としては、利尿剤・α遮断薬などが用いられます。
また、蛋白尿を減少させ腎臓の糸球体の血流を保つため、抗血小板剤(商品名ペルサンチン、コメリアン)も用いられます。
また、すでに腎機能が低下して保存期腎不全の状態では、腎不全に適した食事(腎不全食:蛋白・カリウム・塩分制限)の徹底と、血圧のコントロールに加え蓄積された毒素を腸管内で吸着し尿毒素の上昇を抑える薬(商品名クレメジン)が用いられます。
また、貧血に対してはエリスロポエチン(赤血球の造血ホルモンであるエリスロポエチンは腎臓で作られます)や鉄剤(フェロミア、フェジンなど)が用いられます。
むくみ(浮腫)に対しては利尿剤が用いられます。
糖尿病では体に水分が蓄積しやすい傾向があり、ほかの腎臓病より透析が必要になる尿毒素のレベルが低く設定され、他の腎臓病よりも早くから透析導入が行われます。
そのため、早めの透析導入の準備が必要になります。

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